新建築住宅設計競技2004結果発表
主催:株式会社新建築社+財団法人吉岡文庫育英会
課題:多次元住宅 House of Multiple Dimensions
審査員:スティーヴン・ホール Steven Holl
課題:多次元住宅
アインシュタインの(80年以上昔の)発見によって,あのニュートン理論がいっきょに覆された.まだまだ時間と空間が絶対的なものだと見る向きも多いが,しかし時間の流れは私たちの運動状態に左右される.『エレガントな宇宙』の中でブライアン・グリーンは「ひも理論」によって,一般相対性理論と量子力学との矛盾を解いていく.空間,物質,時間に対するこれまでの理解は,根本的に改められることになる.
250m2の小住宅.これを探査体にして,四次元を超える建築を探ってほしい.この住宅がどんな体験的現象をもたらすかが決め手となる.ただし居住可能な住宅であること.空間と時間もさることながら,素材についても分子レベルから幾何学的特性に至るまでよく検討してほしい.これは一種の「思考実験」となろう.
2004年度新建築住宅設計競技は,本年9月3日に締め切られた.9月28〜30日に本年度の審査員スティーヴン・ホール氏のニューヨークの事務所にて審査が行われ,下記のように入賞者が決定した.応募総数は523点,そのうち海外からは47の国と地域から337点が寄せられた.
入賞作品は1等2点(賞金各400,000円),2等2点(賞金各200,000円),3等2点(賞金各150,000円),佳作6点.
去る、9月28日、29日、30日と3日間にわたって新建築住宅設計競技の審査にあたることができて嬉しく思う.思えば1976年、私自身もロンドンからこのコンペに応募し、3等をもらったことが懐かしい.あれから早28年が経ったことになる.たしか審査員はリチャード・マイヤー、課題は「交差点にたつ住宅」だったと記憶する.
建築を探るツールということで「多次元住宅」と題し、あえてオープンエンドな課題にした.これをほんの出発点にしてもらうつもりだったが、課題をあまりに字義どおりに捉えすぎた応募案が多かったのは残念だ.
審査の3日間、500件以上の応募案に目を通した.その中から上位6案に絞り、1等、2等、3等それぞれ2案とした.
(2004年9月30日 ニューヨークにて スティーブン・ホール
FIRST PLACE
1等


Jason Linde & Michael Joy
ジェイソン・リンデ&マイケル・ジョイ (USA)
FIRST PLACE
1等


Tomislav Dushanov
トミスラヴ・ドュサノヴ
(ブルガリア)
SECOND PLACE
2等


Yasushi Kawatate
川建康 (日本)
SECOND PLACE
2等


Alejandro Ogata (Project Designer, HNTB Architecture)
アレハンドロ・オガタ (USA)
THIRD PLACE
3等


Daniel Holguin / Natalia Porter (collaborator)
ダニエル・ホーガンナタリア・ポーター(設計協力) (USA)
THIRD PLACE
3等


Gary Paige
ゲーリー・ペイジ (USA)
HONORABLE MENTION
佳作(6点)
Ján Pernecký, Ivan PrÍkopský, Tomáš Szőke
ヤン・ペルネッキーイワン・プリコプスキートマシュ・ソーケ (スロバキア)
Pablo Lopez Martin
パブロ・ロペス・マーティン (スペイン)
David Seabra, António Louro
デビッド・サバラアントニオ・ルーロ (ポルトガル)
Jacky Bowring
ジャキー・ボウリング (ニュージーランド)
Gan Lai
ガン・ライ (中国)
Obra Architects
オブラ・アーキテクツ (USA)