2007年1月発売
表紙


現代棟梁の設計術 五意達者への道

木内 修 著
発行:株式会社新建築社


A4変形判/総頁:224頁
定価:3,800円+税
ISBN 978-4-77869-0199-7
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従来、わが国の伝統木造建築の技術は、現場の職人の「経験と勘」に依存し、またその継承は職人から職人へと受け継がれることにより守られてきました。しかし戦後、職人の徒弟制度が無くなった結果、その技術の継承がたいへん難しくなっています。
本書は、四半世紀にわたり伝統木造建築の設計に携わってきた筆者が、従来の伝統木造の技術を工学的見地から検証し、「意匠」「構造」「工法」全般にわたってあらたな設計手法として構成したものです。
この新たな設計手法によりつくられた「大石寺六壷」、「穴八幡宮隨神門」、「神宮外宮神楽殿」等の作品は、「伝統木造建築の意匠をまとった現代建築」であると言えます。伝統建築に携わる方のみならず、木造建築に関心を持たれている皆様に広くお読みいただきたい書です。
月刊『新建築』にて連載された記事を大幅に加筆し、新たに木造の接合部に焦点を当てた、構造家 稲山正弘氏と筆者の対談や、わが国の社寺に用いられてきた75例もの継手・仕口の実例を収録するなど、伝統木造建築設計の教本としても充実した内容となっております。


目次


巻頭言 構造即意匠 鈴木博之
序文 新たなる伝統建築設計法を求めて

第一章 木割術と規矩術
木割術について
木割術の実践ー穴八幡宮隨神門の設計
規矩術について              pageview
軒回り規矩術の開発と実践ー神宮外宮神楽殿の設計

第二章 継手・仕口の研究
継手・仕口について

第三章 新・耐震化架構体の考案
新・耐震化架構体の考案と継手・仕口の工夫ー大石寺六壷の設計

第四章 実大実験による実証と限界耐力計算
新・耐震化架構体の実大実験による実証ー大石寺六壷の実大水平加力実験と工事監理
耐震要素別実大水平加力実験ー建築基準法の性能規定化に向けて
限界耐力計算による検証について
限界耐力計算による検証ー大石寺六壷
限界耐力計算による検証ー穴八幡宮隨神門  pageview
限界耐力計算による検証ー根室山開法寺本堂

第五章 長寿命化と無害化
屋根工法の改善ー本瓦葺き屋根の軽量化と長寿命化
伝統木造意匠を支える長寿命化工法ー神宮外宮神楽殿
錺金物と漆箔についてー神宮外宮神楽殿
錺金物のデザインー神宮外宮神楽殿

対談 仕口から見える新しい木造建築のかたち 稲山正弘×木内修
あとがき
付録 継手・仕口の変           pageview

【著者略歴】
木内 修(きうち・おさむ)
1947年千葉県生まれ/1971年東京理科大学理工学部建築学科卒業/同年清水建設建築設計本部入社/1978〜1980年伊藤建築設計事務所にて伝統木造社寺建築設計技術研修/1980年〜清水建設設計部/1990〜1992年東京理科大学非常勤講師/現在、清水建設株式会社 上席設計長、木内修建築設計事務所 代表
主な作品(受賞)に「大石寺六壷」(BCS賞)、「穴八幡宮隨神門」(東京建築賞奨励賞)、「神宮外宮神楽殿」(中部建築賞、BCS賞、日本建築学会「作品選集2003」掲載)、「靖国神社参集殿」(東京建築賞奨励賞)ほか