都心近郊の駅前商業エリアにある敷地.周辺に小さな商店が立ち並ぶ過密なエリア.敷地の前面道路は西側・北側ともにワイド4m.狭小道路の角地に対する集合住宅の計画.

バルコニーや掃き出し窓といった集合住宅特有のボキャブラリーは,前方に十分な空地(緑地)があってはじめて意味をもつ.道路沿いに建つ集合住宅は,前面道路を空地として利用することになるが,この敷地の道路幅員(4m)は空地として十分ではない.空地の足りない場所にバルコニーや掃き出し窓を設けると,カーテンを終日閉め切られたままの窓になってしまったり(窓として機能しなくなる),ゴミ置き場としてしか使われないバルコニーになってしまう(バルコニーとして機能しない).

1階を店舗,2〜5階を集合住宅とする.2階以上のヴォリュームはひとつの大きな斜面とし,道路上空と合わせて空地をつくり出す.斜面の下端はGL+1,900mmとし,路上の人の背丈すれすれの高さから立ち上がり,空に向かって広がる巨大な斜面とする.なお1階の店舗のフロント面は道路から1,200mm後退させ,歩道スペースをつくる.

道路側の斜面は全面引き違いの連窓サッシュとし,バルコニーや掃き出し窓を設けない.サッシュの位置に応じて異なる素材で障子部をつくり(クリアガラス・エッチングガラス・アルミフラッシュ・アルミメッシュ),採光・通風・物干し・眺望・設備点検口などのために用いる.大きさが同じで材質の異なる引き違い戸がびっしりと並び,集合住宅のオルタナティブな姿になる.

4店舗+13住戸をひとつのヴォリュームに納める.住戸の天井高は3.5m,間口は有効寸法で4.2mとして,各階の水回りを一定の位置に置く.斜面の傾斜によって住戸のデプスが変わり,プランのバリエーションができる.


Cビル (2001-)
所在地 東京都調布市
設計 西沢大良建築設計事務所
構造設計 Arup Japan
設備設計 システムデザイン研究所
プロデュース・施工 ホームイング
敷地面積 283.00m2
建築面積 230.50m2
延床面積 637.85m2
各階面積
1階 150.28m2
2階 207.80m2
3階 146.87m2
4階 107.28m2
5階 25.62m2
住戸面積 27.31〜49.69m2
建ぺい率 81.45%(許容:90%)
容積率 225.39%(許容:240%)
構造 鉄筋コンクリート造
規模 地上5階
最高高 19,900mm
地域地区 商業地域 防火地域
住戸タイプ 民間,賃貸(1LDK〜2LDK)
住戸数 13戸+4店舗
竣工予定 2003年12月


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