・・・家族という単位は今,実に中途半端な状態にあるように思う.家族など解体されている,もう「私」しか存在しないのだという(わけにもいかないし)・・・だからといって家族という単位は今でも全面的に安泰である,その機能を十分に果たしている(という)わけにもいかない.・・・「岡山の住宅」は,そのしのぎ合いから,「私」が家族をはるかにしのいでしまった図式である.・・・(敷地はガルバリウム鋼板の壁で囲われ,外部から完全にシャットアウトされている.ここで外部と直接つながっているのは個室だけである.)その個室を通過して家族のコモンスペースに入るという図式である.家族という単位よりも「私」という単位が優先しているわけである.たぶん,今考えられる限りの限度で,もっとも「私」が突出している家族の図式である.・・・(山本理顕「家族という思想」/『新建築 住宅特集』1993年1月)


岡山の住宅 (1988-1992)
所在地 岡山県岡山市
主要用途 専用住宅
敷地面積 507.33m2
建築面積 166.37m2
延床面積 166.37m2
構造 木造 一部鉄骨造
規模 地上1階
最高高 6,180mm
設計 山本理顕設計工場
構造設計 SIGLO建築構造事務所
設備設計 団設備設計事務所
施工 橋本興産
竣工 1992年11月


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