・・・なるべく外に対して開きたい.・・・木造ルーバーによる目隠しを試したり,さまざまな素材を検証してみた.検証したというより,迷いに迷った.ちょうどこうした施設そのものの曖昧さに似て,判断の拠り所がないのである.この施設は精神科のクリニックと痴呆性老人のためのデイケアセンターとの複合施設である.・・・さまざまな福祉施設は,一般的には家族に対する補完施設である.家族という単位を前提にしながら,その単位の脆弱さがさまざまな福祉施設の存立基盤になっているという,きわめて矛盾した構図である.・・・ファサードの杉板がどの程度の開口率だったらよいのかという話は,実はその曖昧さの話なのである.・・・(山本理顕「もうひとつの居住単位に向けて」/『新建築』1996年3月)


山本クリニック (1994-1996)
所在地 岡山県岡山市
主要用途 診療所 デイケア施設
敷地面積 733.32m2
建築面積 331.80m2
延床面積 394.38m2
構造 鉄骨造
規模 地上2階
最高高 6,305mm
設計 山本理顕設計工場
構造設計 SIGLO建築構造事務所
設備設計 団設備設計事務所
施工 橋本興産 藤木工務店
竣工 1996年1月


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