江東区東雲に建つ,総戸数約2,000戸の高密度都市型集合住宅.6つの建築家チームによって6つの街区がつくられる.私たちは最初に竣工する1街区を担当した.各設計者はこれからの都心居住をテーマにさまざまな提案を行い,他の街区と連携しながら設計を進めた.中央を貫くS字街路,最高高さの統一,外壁面の位置調整など,全体に関するルールは,デザイン・ガイドラインに則り決定していく.しかしこのガイドラインは個々の建築家を拘束するものではない.公団側と建築家たちとの共通理念をその都度確認する,いわば話し合いのテーブルのようなもの.その共同作業により,今までの枠組みを超える新たな都心居住のモデルが提案されている.
1街区の特徴は,住棟ヴォリュームをくりぬいた「コモンテラス」,ホームオフィス的な「f-ルーム」,明るい「中廊下」と「水回りユニット」である.2層吹抜けのコモンテラスは各階にランダムに配置している.そのテラスから採光・通風をとる中廊下は外部のような空間である.また,中廊下に面した扉の約6割はガラスとした.さらに各住戸のf-ルームを廊下側に配置することで住戸が外に開いていく契機をつくる.そうすると必然的に水回りユニットは外壁側に配置され,住戸内部の自由度は高まり,浴室はガラス張りのサンルームのようになる.ここでは職住が一体となれる新しい都心型の集合住宅を試みている.


東雲キャナルコート1街区 (1999- 2003)
所在地 東京都江東区
主要用途 集合住宅
敷地面積 9,221m2
建築面積 5,938m2
延床面積 50,095m2
構造 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
規模 地下1階 地上14階
最高高 47,000mm
住戸数 420戸
設計 山本理顕設計工場 都市基盤整備公団
 三井建設・鴻池組・大日本土木共同企業体
構造設計 織本匠構造設計研究所
 都市基盤整備公団
 三井建設・鴻池組・大日本土木共同企業体
設備設計 総合設備計画
 EE設計
 都市基盤整備公団
 三井建設・鴻池組・大日本土木共同企業体
施工 三井・鴻池・大日本土木共同企業体
竣工 2003年7月


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